大学生「読書時間0分」初めて過半数超えについて~所感~

www.jiji.com全国大学生活協同組合連合会による学生生活実態調査の2017年度の調査結果が発表され、読書時間が「0分」の回答が調査項目に読書時間を加えた04年以来初めて5割を超えたことが話題となった。

結論としては、うん、まぁ読んでないんだろうね。ということだが、いろいろと疑問に思ったことなどあったので調べたことをまとめてみたいと思う。

 

まず確認できるデータである学生生活実態調査の結果は概要のみネットで確認できます。詳細を得ようとすると冊子の購入費として1万円ほどかかるようです。

www.univcoop.or.jpなので深いところのデータまではわかりません。だからこそニュースが流れた時に色々と話題に上がったのだろう。

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(第53回 学生生活実態調査)

 

 

まず、わかりやすい分布図を見てみよう。ニュースでも話題となっている通り、12年には34.5%だったのが53.1%まで増えていることがわかる。

さて、ここで誰もが疑問に思うのが読書とはどこまでを指すのか?

これに関しては、第50回(2014年)の調査で調べられている。

 

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(第50回 学生生活実態調査

  

 

  • 今回「読書だと思うもの」を調査しており、複数回答で「趣味や関心のための書籍」93.1%のほか、「教科書や参考書」31.2%(男子33.3%・女子28.5%)、「趣味・情報雑誌」21.7%(男子24.1%・女子18.7%)、「コミックス」13.4%(男子15.2%・女子11.1%)があげられ、『読書』に対する定義は女子よりも男子が広い傾向にある。
  • 「趣味や関心のための書籍」のみを『読書』とした学生は50.8%(男子47.5%・女子54.9%)で、その平均読書時間は22.2分と、全体平均より短く、「0」分も53.5%に上る。
  • また『読書』を「趣味や関心のための書籍」に加えて「コミックス」とした学生の平均時間は45.1分(男子44.7分・女子45.5分)など、『読書』の定義による読書時間の違いも見られる。

 

  

設問を見ていないのでどうしても推測になってしまうのだが、どうも「読書時間」の質問時には内容については指定していないらしい。そして、読書の中に「コミックス」「雑誌」「教科書」を加えた学生の平均読書時間は含めていないものと比べて読書時間が長い。このことから、2017年の調査結果の53.1%というのも「趣味や関心のための書籍」だけに限定した場合、もっと0分のパーセンテージは増えるのではないだろうか。(もし含めている、含めない、など指定していた場合、上表自体が成り立たない)

というか、調査の段階で対象の読書意識に任せて読書時間を聞くというのは調査データとして正しいのだろうか?

 

ここで大事なのは、読書時間の調査は対象の「読書だと思うもの」の意識差も含まれているということ。なので、読書時間0分のパーセンテージは出ているものよりも増え、それ以外のパーセンテージは下がると推測される。

 

まぁ、僕もつい先日18冊くらいコミックスを買って読んだけど、コミックスを「読書だと思うもの」に含めなければ読書時間は0分ですからね。大体、毎日読書なんてしないし、読書時間より冊数を聞かれたほうが答えやすい。

 

 

 

次に、読書時間が減った原因について検討してみたい。

新聞の記事などでは、浜嶋幸司同志社大准教授(学習支援)は、「高校までの読書習慣が全体的に身に付いていないことの影響が大きい」と指摘し、「読書時間にスマホ時間の影響は強くない」と結論付けている。

果たしてそうだろうか? 影響は強くない、とした根拠の一つとして「読書時間とスマホ利用時間の相関関係」を調べたところ、第51回の調査で「読書時間60分以上(全体の23.3%)で155.3分」と読書時間が長い層もスマホ利用時間が長いからというのが根拠らしい。

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(第51回 学生生活実態調査

  

ここで、前述の『読書時間の調査は対象の「読書だと思うもの」の意識差も含まれている』というのが絡んでくる。何が言いたいかというと、スマホ電子書籍を読んだら読書時間もスマホ時間も両方伸びますよね? ということ。また「読書だと思うもの」の意識差が含まれているということは、例えば「小説家になろう」とかをスマホで読んでいて、それを読書に含める人だとスマホ時間+読書時間の両方が増える。

なので、読書時間が長い層のスマホ時間が長くてもおかしなことはない。むしろ、電子書籍を読んでいるのだったらスマホ時間も長くなるというものだ。

ただ、これ、電子書籍を読んでいるかどうかわからないと60分以上の人のスマホ時間が長いのは電子書籍を読んでいるから、とは言い切れないんですけどね。でも少なくとも、読書時間0分の人は電子書籍は読んでいないことは明白。つまり調査対象の約5割。

 

 

スマホが影響していないとしたら、何が影響しているのか?

個人的には、アルバイトの就労時間の増加と読書以外の教養娯楽費の増加から見えてくるのではないか、と考えます。要は単純な余暇時間の奪い合い、だ。

大学での授業の時間以外の時間割合を調査したデータでもあれば一発でわかると思うのだが、ない以上、推測を重ねるしかない。53回の調査では就労率は0.3ポイント低下したらしいが、52回の時点で過去最高の就労率77.5%と高くなっており、大半の大学生がアルバイトをしている状況です。

52回の調査だと「アルバイトの1週間の就労時間は平均時間12.5時間」。これに睡眠時間や授業などを一週間の時間から引くと約70時間くらいが大学生の活動余暇の時間と考えられる。もちろん、ここに食事や生活のための時間などを引くと一週間のうち約50時間。7時間くらいが一日の余暇時間だろうか?(あくまでざっくり計算の多く見てです)

で、約3時間がスマホに取られると、残された時間は4時間。友人などとの交友時間や教養娯楽費の増加・旅行レジャー費の増加などを考えると残される余暇時間はあってないようなものだろう。

 

 

まとめ

1.発表された数値より読書時間0分の割合は53.1%より高いと考えるべき

2.読書時間とスマホ時間の相関を調べるのなら、電子書籍の要素も考慮すべき

3.スマホ時間の中には電子書籍を読む読書時間が含まれていると考えるべき

4.スマホで読書しやすい環境を作ることが読書時間増加の近道?

5.紙の本を読む量が減っているのは明白

  

そんなところでしょうか。

スマホ電子書籍は読めるから読書をしようと思えば読書はできる環境にある。でも、そうならないのは、高校時代までの読書習慣がないというよりは、電子書籍がまだ浸透しきれていないのが課題なんじゃないかな。

出版社はいかに電子書籍を売るかを真剣に考えたほうがいいのかもしれない。多分、もう真剣に考えてどん詰まりなんだと思いますけど。