魔人の少女を救うもの

魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate (GA文庫)

 

第9回GA文庫対象優秀賞受賞作。

ご都合主義と言われても、僕はこの話が大好きです。

 

すごく良かった。本当に久しぶりにライトノベルらしい、面白くてファンタジーで、心が満たされる作品だった。あらすじを見て、これはきっと僕の期待に応えてくれる作品だと思いつつ、なんかもう、フラグがガンガンに立っていましたが、この結末なら大満足です。

まず読み終わった後に思ったのは、帯がいい仕事をしているということ。

「人として死にたい。こんな姿になったとしても、せめて最後は人として…」というもうね、ああ、そういう結末があるんだろうなぁという予測が立つキャッチコピー。そしてその通りに進んでいった物語。そしてこの結末。

ええ、ご都合主義と評価する人もいるでしょうが、僕は好きです。悲劇とか美談とか、そんなのいらないんですよ。優しさがあればいいんですよ。それを感じられるかどうかがこういうキャッチフレーズがつけられる作品に一番大事なことです。

勇者一行の中に入れなかった勇者の幼馴染・ウィズ。傭兵となっていた彼は本作のヒロイン・アローンと出会い、彼女の目的のため一緒に北へと目指す。勇者の美談とともに語られる彼の過去や道中に起こる出来事から彼がいかに凡夫であるか、それでいて努力を怠らず、誰かのために行動できる人物であるか、それらを丁寧に描き、またヒロインであるアローンとの交流も丁寧に描いているので後半の流れへの説得力が生まれている。そして結末には優しさがあり、個人的にすごく良い読後感があった。

勇者側のキャラ描写は少ないがわかりやすいキャラクターを配置しており、さらっと入ってくる。最強設定具合もなかなかで、ウィズの凡夫ぶりと比較することで余計に際立つし、だからこそ最後の戦いが映える。うん、まぁそういう展開になるよね、と予想はできるがお約束というのは大事である。そしてそこまで丁寧に描いているから、お約束がよく映える。結末が素晴らしいと感じられる。

張られた伏線に関しては結構わかりやすい。いくつか忘れたころに出てくる伏線などもあったり、ライトノベルとして優秀賞にふさわしい完成度。

ごてごてした設定は少ないので読むのに疲れないし、かといって全く設定がないわけでもない。わかりやすく、簡潔で、それでいてファンタジーだ。

 

いや、ほんと、いい作品で面白かったです。

ファンタジーライトノベルを読みたい人には本当におすすめです。

これ大賞じゃなくて優秀賞って大賞のハードルめちゃくちゃ高いんですね。

そう思ってしまうくらい、良い作品であり、面白かったです。続編があったら必ず買います。楽しみです。