読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

古書街キネマの案内人

ライト文芸

 

 神保町であえて古書ではなく、映画を取り扱った本作。

映画が少しでも好きだったら、面白いと思うんじゃないでしょうか。

 

映画にまつわる悩みを聞いて解決する案内人・六浦すばるが様々な映画に関わる謎を解いていく、最近よくあるタイプの作品です。今回はそれが映画ということ。

本当にこういう作品増えましたけど、お手軽に読めて、楽しめるから個人的には好きです。あとは登場人物たちに好感が持てるかどうか、がヒットするかどうかでしょうね。

こうした日常的な場面で起こる謎を素人が解き明かす作品を、欧米では“コージー・ミステリー”と呼ぶそう。「コージー(cozy)」とは「居心地の良い」という意味で、シリアスな本格的なミステリーより気軽に楽しめ、とくに女性に人気らしい。

 

今回はE.Tや羅生門など、知っている人が多い作品をきっかけに、深い蘊蓄も加えて楽しませてくる。主人公とヒロイン、その両方とも好感が持てるし、周囲の人間もわき役として良い感じである。

読んでいると、ああ、映画館で映画を見たいなぁ、と思いたくなったので作品として成功しているのではないでしょうか。

 

個人的にはもうちょっと雑味というか、ラブコメとか、食べ物とか、映画が関係ない部分とかが入ってくると好感度がさらに上がるんじゃないですかね。この手の作品で、主テーマだけで話を作ると息抜きが欲しくなるんですよねー。

ビブリアなら、謎と古書と鎌倉、タレーランなら、謎とコーヒーと京都、櫻子さんなら、謎と標本と食べ物と北海道、ホーンテッド・キャンパスなら、謎とオカルトと食べ物と恋愛、と主軸以外に小さな話題が加わって面白いんですよね。

せっかく神保町を舞台にしているのだから、その辺の描写もあるとなお楽しいと思います。

 

でもまぁ、最近乱発気味のこの分野で、この作品は当たりだと思います。