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0.2ルクスの魔法の下で

ライトノベル

 

0.2ルクスの魔法の下で (GA文庫)

0.2ルクスの魔法の下で (GA文庫)

 

 第7回GA文庫大賞奨励賞受賞作。

あとがきで評価を下げる、というのも珍しいパターンだなぁ。

 

ライトノベル竹岡美穂さんのイラストを持ってくるということは、ある程度売れるだろうという編集部の思惑を感じるわけですが、確かにこの作品は一定のレベルに達しており、十分楽しめる出来です。

でも、奨励賞受賞作レベルだと思います。大賞ではないですよ。まぁ最近は大賞受賞作でもつまらないのも多いから、何とも言えないのかもしれませんけどね。

 

まぁなんで冒頭にそういうことを書いたかといえば、作者のあとがきが個人的に不快感を受けるものだったからです。あとがきで、大賞の選考員の方に、なぜ大賞でなかったのか? と問うようなものに少なくとも僕は好感を持ちません。

あるいは、その作者が書いた作品が「確かにこれは大賞受賞作レベルの作品だっ!」と声高に言えるぐらいのレベルだったら、うんうん、と頷いたかもしれませんが、それでもこの作者のあとがきの文章全体から漂ってくる嫌な感じにはたぶん、頷かないだろうなぁ。

なので、まだこの作品に触れていない人には、できればあとがきは読まないほうが良い、と真面目にアドバイスを送ります。少なくとも、好感を持つあとがきではない、と僕は思います。

 

さて、言いたいことも書けたので、これからは正しく作品の感想に移ります。

作品レベルで言えば、そこそこ完成度は高いと思います。なんだか都合よく話が進むご都合主義を『世界の意志』という言葉でうまく丸め込んではいますが、世界観や設定、話の展開に無理はありませんし、下手すぎる伏線はありますけど、綺麗に収まっているとは思います。回収されていない問題も『世界の意志』ですべて片付くので、いいんじゃないでしょうか。

女の子だけが使える魔法、とか、幽霊少女の正体とか、一つ一つのパーツと展開は読んでいて面白かったです。

キャラクターも絞っており、わかりやすい。

ただ作品の内容上、こじんまりとしている。また、あらゆる問題を最終的に『世界の意志』で片づけてしまっているのも問題だ。『運命』という言葉を変えているだけにすぎず、それで全部片してしまうのは暴論ともいえる。そして何よりこの作品が奨励賞レベルだと思ったのは、登場人物が今回の物語の中で何一つ成長していない点だ。

結局のところ、ヒロインは不幸になった、だけである。そこからの浮上までをこの作品は描いていない。なぜ彼女は不幸になるのか、そして不幸になったところまで描いて終わっている。

もちろん、登場人物が成長しなければならない、というわけではないが、この作品の場合、ヒロインは現実・現代社会を受け入れられないから別世界へと行こうとしている。そのことに関して、解決していない。

なので最後の締め方が非常にモヤッとする。主人公はヒロインを傷つけて、でよくわからない決着の付け方をして完結している。

 

続編ありきで、今後の展開で徐々に彼女が現実社会に適合していくのかもしれないが、1作で完結すべき大賞応募作でこの終わり方はお粗末だ。

悪い作品ではない。たぶん、いい評価を出す人たちの方が多いとは思う。

でもまぁ、僕はこの作品をそこまで評価はしないし、この作者の作品は二度と買わないと思う。そんなところです。