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帰宅戦争

ライトノベル

 

 第28回富士見ファンタジア大賞銀賞受賞作。

また一つ、新たな帰宅部がここに誕生したのか。

 

帰宅部ラノベの中ではそれなりにポピュラーな題材だ。「帰宅部のエースくん。」や「帰宅部! GO HOME ―決戦は日曜日―」、「ごーいんぐ? ほーみんぐ!」などがある。本作は学校から出られるかどうか、を舞台にしている。

さて、そんな本作、受賞作なのでキャラの掘り下げを主人公とヒロインに絞った点はよい。シンプルでわかりやすいストーリー展開もよい。だが、熱さが足りない。情熱が、青春にかけるバカさ加減が、逆境が、それを覆す奇策が、すべてが足りない。

要は一度挫折した少年が青春を棒に振ろうとして再び青春を手に入れる話なのだが、高校生が文化祭でワイワイやっている程度のぬるさしか感じなかった。読んでいる人間が、高校時代を思い出し、あるいは今この瞬間と比較し、その通りだ、と思うような共感性がない。

単なるドタバタギャグ作品で終わってしまっている。校舎を破壊するような行為をしているのに、それに関するフォローがないのはギャグ作品特有の何でもあり、というのでいいが、ギャグにだってシリアス展開はあるし、熱い展開はある。

それがあるから余計にギャグとの落差が光るわけで、それがないとぬるいまま終わってしまう。そして、この作品は終わってしまった。

ただ2巻があるとしたら、どういう問題を提示し、どういうストーリー展開をさせるのか読めない辺り、期待値は高い。本作だけだと、富士見ファンタジア文庫の受賞作はこの程度なのかぁと思わずにはいられない。難しい作品だ。

 

正直、『学校の階段』を読んだ経験を持つ僕からしたら、本作はその劣化版にしか思えない。あの作品ほど熱さを感じられなかった。

2巻以降、続くのなら、もっと熱い展開を期待したい。