さらば、佳き日

 帯には良い帯と悪い帯があるのですが、本作の帯はどちらかといえば悪いほう。

『僕の妻は妹でした』と帯に書かれていますけど、それは2巻にふさわしい帯だろう。

 

帯によるネタバレというのは、色々な作品にあるわけで、本作もそんな作品。

1巻第1話。作者は表紙の二人が兄妹である『秘密』を伏せたまま話を中盤まで進めている。進めながら、そのどこかはかない雰囲気を描き、読者を楽しませている。

公式サイトでは二人が兄妹であることは伏せられているので、初読みの読者は『何か秘密がある二人』を意識しながら読む。

そして、

「『桂ちゃん』とは結婚できないんだから」

という台詞に一気に物語に引き込まれ、

「兄弟じゃないですか?」

という台詞で「やっぱり」だったり、「えっ!?」だったり、物語の核心に触れることになる。

非常に考えられた構成で作られている。

のに、帯がこの第1話の構成をぶち壊している。最初から兄妹であることが分かって読むのと、わかっておらずに読むのとでは作品の楽しみ方が変わる。

1回読んで、その真実を知り、2回目に真実を知って読む。2度楽しめる構成だ。

その1度目を帯が潰しちゃっているのだから、もったいない。まぁこの感想もネタバレ全開で潰しているのだが、帯でつぶれちゃっているから関係ないか。

 

兄妹のラブストーリーとしては非常に良い出来。コメディに走らず、かといってシリアスにも走りすぎていない。繊細な雰囲気と心の動き、細やかな物語の展開が楽しめる良作だ。

この先どう言う展開になるかわからないが、きっといい作品になる予感を感じさせる。

 

たぶん、本屋では埋もれてしまう作品だろうが、おススメしたい作品です。