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スカイフォール 機械人形と流浪者

 

 空中に浮かぶ都市で暮らす人々の姿を描いた作品。

非常に面白かったが、万人受けは難しいかもしれない。

 

天地を貫く巨大な柱・ターミナルを中心に、空を横断する無数の鋼線。そこにぶら下がるゴンドラに乗り、流浪者(ドリフター)たち青空に浮かぶ雲海の中、記憶喪失で倒れていた青年・クウガを拾ったのは、天真爛漫な流浪者スズと、彼女に尽くす機械人形(オートマタ)のエア。少女二人と旅をする中でクウガが知る、己と世界の真実とは――。

というようなお話。

ラストまでの伏線や世界観の張り方が非常に丁寧で、一つ一つ不足なく置かれている。そのおかげでラストの登場人物たちの感情がよく理解できる。主人公を記憶喪失にさせ、読者の意識に近づけているのも、主人公は読者の代わりに小説の世界に触れるためだろう。

そして、その世界がけっこうシビアだ。少女二人の環境もシビアだ。

どうシビアかなのかは読んでいただいたほうがいい。

ただほんの少し残念なのは最後が駆け足だったこと。怒涛のように畳みかける、と言えば好印象を持たれると思うが、本作の場合はもうワンテンポくらい落としたほうが盛り上がった気がする。初めて明かされる真実と掛け合いをもうちょっと長く描いてもよかったと思う。

 

シビアな世界観と内容なので万人受けは難しいだろうが、非常に面白くて骨太な作品。できればこの世界観で続編を出して、この世界だからこその悩みや苦しみなどを見せてほしいところ。

面白かったです。