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その時の教室

一般小説

 

その時の教室

その時の教室

 

 激アルバイターシリーズの谷原秋桜子さんの最新作。

すみません、発売されていたことに12月になるまで気づきませんでした。

 

2010年11月に発売された『鏡の迷宮、白い蝶』以来の本。待っていました。

〈美波の事件簿〉シリーズではなく、完全新作なわけですが、谷原秋桜子さんの本職は教師なのかな? そう思うくらい描写が細かい。今まで知らなかった教師の仕事が書かれている。

全編教師が主人公の連作短編集で、冒頭に作者からお願いが入る珍しい作品だ。その理由は途中でわかる。確かに、ある一部の人たちにとっては投げたくなることを描いてはいる。ただ、最後まで読めば、作者が伝えたかったこともわかる。

トリックとしては全体的に読者を騙す形式が多く、素直に『そうなのか』と楽しませてもらった。全体的に落ち着いているというか、暗く、明るさがもう少しほしいところではあった。

また連作短編の形をとってはいるが、最後のまとめがかなり強引に感じた。そこにいる必然性とか関連性が感じられず、唐突感があった。それも仕方ない。初出一覧を見ていると一つずつの掲載時期が飛んでおり、もともと連作短編集にする目的で描いたわけではないと思われるからだ。

教師が主人公という関連性はあるものの、関連性はそれくらいしかない。

なのでちょっと連作短編集としての効果は薄く、作者が伝えたいテーマも薄まってしまった感が否めない。

 

新境地と言えなくもないが、そういうためには毎年一冊ぐらいは今後出してくれることを期待したいところ。

個人的には〈美波の事件簿〉シリーズの初期のほうのノリのが好きだが、今後も本を出してくれることを願うばかり。希望を言うなら、最近勢いのあるライト文芸で書いてほしいところ。