真実の10メートル手前

 

真実の10メートル手前

真実の10メートル手前

 

 2年連続三冠賞を受賞した『王とサーカス』の続編短編集。

米澤穂信作品らしい痛みとジャーナリズムについて問う作品でした。

 

連作短編集ではないので、『王とサーカス』のような最後にずきりと来るものはなかったものの、一つ一つで語られるジャーナリズムについては実に考えさせられる。

1作目であり、表題作の『真実の10メートル手前』はそこにたどり着くまでの推理を描きつつ、10メートル手前にたどり着いた時の太刀洗万智の行動にぐっと胸に刺さる。

2作目の『正義感』は非常に短い作品だが、他者から見た、事件に遭遇した時のジャーナリストの姿が非常に良く描かれている。

3作目の『恋累心中』は嫌な話、だ。

4作目の『名を刻む死』は太刀洗万智の優しさが感じられる。

5作目の『ナイフを失われた思い出の中に』はファンサービス的な要素もあるが、『王とサーカス』を意識して読むと彼女があれからどう考え、どう行動しようとしているのかがわかる。

6作目の『綱渡りの成功例』はそんな彼女の成功例なのだろう。

 

まさに粒揃いの最新作、という言葉が似合う作品。

面白いというより深い、というほうが個人的には合っている気がする。『王とサーカス』を読んだ方は是非とも読んでほしいところ。

 

 

最後に、新年、あけましておめでとうございます。

今年も例年通り、感想を書き残していこうと思いますので、よければまたご来場ください。