珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

このミス大賞の隠し玉。作品の内容からラノベ系のイラストを表紙に持ってきているのは正解だと思います。
古典部シリーズやビブリアのような連作短編集型のミステリーをお望みでしたら十分にかなえてくれる作品です。
 
女性バリスタの趣味は――謎解き!理想の珈琲を追い求める青年が、京都の一角にある珈琲店「タレーラン」で、のっぴきならない状況に巻き込まれて……。魅惑的な女性バリスタが解き明かす日常の謎の数々。第10回『このミステリーがすごい!』大賞最終候補作に、全面的に手を入れて生まれ変わった、編集部推薦の「隠し玉」。
 
というわけですが、登場人物のあざとさが鼻につくものの、全体としては面白い、というか好きなタイプの作品です。
登場人物――特にヒロインのバリスタの造詣に「あざとさ」が浮き出ている。キャラクター小説としてのキャラクターといったところ。彼女の決め台詞として用意されたのが「その謎、たいへんよく挽けました」はさすがに無理がある。
なので、ミステリー小説として読むよりも、ラノベのミステリーぐらいの軽い気持ちで読むとよいと思います。
 
京都を舞台としておりますが、これ、京都の通路名を知っていないと意味不明なうえ、地理を知らないといけない以上、全国区で販売される本としてはちょっと問題がありますね。もう少し説明が必要かと。
ミステリーとしては、全体的に軽めです。エッセンス程度にとらえ、登場人物同士の掛け合いを楽しむのが吉かと。
 
すごく面白い、というわけではないものの、個人的には好きな一冊。
できれば続編を読んでみたいと思います。それくらい全体として好感が持てる本です。