ミスター・ノーバディ

ミスター・ノーバディ [DVD]

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批評家が絶賛し、一般の視聴者は賛否両論となり、オタクはエロゲーだと叫ぶ! 本作はそんな映画です。
いや、たぶんそんな見方でレビューもどきを書くのは僕ぐらいでしょうが。
 
2092年、科学の進化により人類は不死となっていた。その中で最後の「死ぬことのできる」人間であるニモは、118歳の誕生日を前に人生を終えようとしていた。
そんなとき、1人の新聞記者がやってきてニモに質問をする。「人間が“不死”となる前の世界は?」ニモはその人生を語り始める。
両親の離婚―母とよその街へ行っていたら、父とここに残っていたら…。
3人のガールフレンド―あのときエリースに手紙を渡せていたら、あのときアンナと再会できていたら、あのときジーンと結婚していたら…。
人生における幾通りもの選択。ニモは少しずつ過去をさかのぼっていく―。
 
というストーリーです。つまるところ、エロゲーでいくつかの選択肢から一つを選んで意中のあの人とゴールイン、なわけです。もちろん、バッドエンドも存在します。ノーマルエンドも存在します。オートセーブ機能搭載の良品です。
なにしろ、ガールフレンドの一人のルートがエロゲー展開過ぎる。
詳しく語るとネタバレになるので語らないが、確実にラノベエロゲーを好む人間が見れば僕と同等の感想を持つはず。
最初はシュタインズゲート的なのかなぁとも思ったのですが、そういうわけでもなくエロゲーのが近い。エロシーンあるし(笑)
 
で、じゃぁこの作品はエロゲー的なレベルなのかといえば、もう少し中身は深い。
なにしろ一本のエロゲーの全ての選択肢を一本の映画で描いているのだ。どう描いているのか、想像するだけで見たくはなってこないだろうか?
そしてその期待に応える出来を本作は持っている。一人の主人公・ニモの様々な人生を目まぐるしく描きながらもぶつ切りにならずに連続したモノとして描いている。しかも、あまり混乱しない。
色合いや映像、音楽など様々な要素を噛み合わせて視聴者を最後まで誘導していく。最後にはその視聴者へこの話がいったいどういうことなのか、それを指し示すのだが、そこが難解。
この作品が訴えかけているもの。これは人によって受け取り方はだいぶ異なるだろう。
映画を見慣れた人だとすんなりと何かに結び付けられるだろうし、そうでない人は結末の描き方から首をかしげたままとなるだろう。
映画を見て即、感動。これはまずない。というかそういう人はすごいと思う。
むしろ読み解こうとするたびに深みを知り、驚きが生まれ、感動するタイプが普通だと思う。
 
確実に見終わったあとに誰かと語りたくなる作品。
ああ、面白かった、では終わらない深みがこの作品にはあります。総制作費50億円。それだけの映像美もあります。
おもしろい作品。ぜひみてもらいたい。