幽霊伯爵の花嫁

幽霊伯爵の花嫁 (小学館ルルル文庫 み 4-1)

幽霊伯爵の花嫁 (小学館ルルル文庫 み 4-1)

ルルル賞と読者賞のW受賞をしたそうな本作。なかなかいいのではないでしょうか?
ところで、エノーラ・ホームズの最終巻はいつ?
 
とまぁ、エノーラ・ホームズを待ちわびつつ、ルルル文庫の新刊情報を見て購入に至った本作。面白かったですよ。
物語は主人公・サアラが幽霊伯爵と呼ばれる伯爵に嫁ぐところから始まり、噂通りに幽霊が出る屋敷で持ち前の個性を発揮して周囲を翻弄し、交流を深めていくお話です。
正直なところ、この主人公はあまり同性に好かれるタイプではない。それは作中でも描かれており、また主人公本人も自覚している。自覚してなお、それを改めることなく、自己を貫く女である。そんな彼女を描く上で『美人』というワードが作中に頻発する。結構くどいくらい出てくるが、物語の構成に生かしているので好感が持てる。
ラノベによくある特に意味のない美人設定とは異なり、それを武器として活用する姿が出ている。
また作者の癖なのだろうが、主人公の『緑玉色の瞳』という表現を多用するのが印象的。
 
登場人物はうまく造詣が出来ており、人数も適度に削っているのでわかりやすい。また視点の軸を主人公を中心にしているのでブレも少なくて読みやすい。
文章は新人とは思えないほど丁寧でわかりやすく読みやすい。そして語彙が豊富な印象が受ける。主役二人が微笑と無表情を軸としているため、その表現が多くはあるが細かい所作まで表現されていて、登場人物の機微が動作から読み取りやすい。
 
全体的に完成度は高く、恋愛度は低め。これくらいの恋愛色なら男性でも読めるのではないだろうか?
それでいて恋愛ではないかというとそうでもなく、好きではない男を好きになろうとする主人公の強かさが読んでいて心地よい。

ただ、個人的に気になったのは伯爵に子供がいることを彼女が知っていたわけだが、そんな描写はあったのだろうか? 読みとしてしまったのか、しっくりとこなかった。
 
非常によい小説。続刊は望まず、この作者で他の物語を色々と読んでみたいと思わせる力がある。
ところで少女小説は料理を詳細に書く風潮でもあるのかな。男性向けラノベに比べて料理の種類が豊富である。