僕と彼女のゲーム戦争

僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫)

僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫)

震災で桁違いの寄付をしたことで図らずも話題となった作者による本作。ゲームを取り扱っていることで新規読者を得やすいのに、これはちょっと失敗かなぁと。
作品で取り扱ったゲームの選択ミスと作品全体のバランスが悪いのがパッと浮かぶ欠点です。
 
物語は物語の舞台となる高校に転入した主人公が現代遊戯部という別名ゲーム部と知り合うことで、それまで倦厭していたゲームの才能が自身にあることが発覚する。現代遊戯部へと仮入部した彼は、ゲーム大会へと出場するのだが。
こんな感じでしょうか、大雑把にまとめると。
 
物語全体のバランスや主人公以外の登場人物が薄いなどの問題点があるのですが、
一番の問題点は、
主人公は物語にのめりこむと主人公と一体化する、という癖があるんですが、最後のゲーム大会でこの癖が発現する理由がわからない。主人公がその癖を発現するためにはストーリーが必要だと、作品の中盤でスペランカーを使って説明していた。
なのに、ゲーム大会ではその辺りの描写など一切なく、主人公はキャラクターと一体化した、ときた。
これはどう考えてもおかしい。そういう設定のはずなのに、その設定を無視した展開である。
なぜ、最後の最後でその設定を度外視したのか、その設定で対戦状況を描写しなかったのか、謎だ。
 
また、
作中で扱うゲームがPS3ゲーム・洋ゲースペランカー・FPSなのは選択ミスではないだろうか?
僕が最近のゲーム事情に詳しくないのもあるのでしょうが、いまひとつ楽しめなかった。実在のゲーム名を出されても、それを文章で表現されても知らなければ意味がない。世界的に有名なソフトではなく、日本的に有名なソフトをチョイスしたほうが面白かったのでは?
個人的には某有名ヒゲ親父のがわかりやすく、シュールだった気がするのだが。スペランカーも悪くはないんですがね。
他の人の評価をみると色々なので、ここは個人差が大きい部分でしょうね。

また、個人的にはベン・トーのがゲーム愛を感じるのですが。いや、あれはセガ愛か?
この作品のキャラクターからはあまりゲームに対する愛情・熱気を感じられないなぁ。作者の愛情は描写の丁寧さからよく伝わってきます。
 
悪い作品とはいいませんけど、個人的には評価は低い。
最初から続編ありきの第一巻として明記されていればバランスもこんなものだろう、と納得するんですが。
僕としてはそこまでオススメはしないかな。