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ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち

古書店あるいは書店のミステリーは日常系ミステリーと同等に大好きなジャンルです。このタイトルだけで購入となりました。
そんな本作は、書店ミステリーの定石にのっとった良い作品でした。
 
書店あるいは古書店ミステリーの定石とは、連作短編方式を採用し、各章ごとにテーマとテーマを導く本を絡めて展開し、最終章で全てを統括する。書店・古書店を舞台とした場合、大抵の物語がこの方式で展開しているのではないだろうか?
もちろん、この定石から離れた物語もあるので、これが全てではないがよくある構成であることは確かだろう。
本書も、4つの章に区分され、章ごとに一冊ずつ書籍を取り扱っている。そして最後に全てを統括する謎解きが行われる。
 
物語は就職浪人した主人公・大輔がある本を契機にビブリア古書堂へと行くことになり、そこの店長・栞子と知り合う。そして謎の解明とともに大輔はビブリア古書堂で働くことになるのだが……。
といった感じである。登場人物は各章ごとに2〜3人と主人公と栞子と少なく、わかりやすい。
形式も大輔が古書を栞子の元へと届け、栞子が古書と大輔が話す内容から推理・解明していく。安楽椅子タイプだ。
まぁ、書店ミステリーは安楽椅子タイプが多いので別段その辺りに物珍しさはない。
それよりも、主人公・大輔が『本が読めない』人間で、栞子が『本の話だけ饒舌になる』という設定が非常にうまく作中に組み込まれているところが素晴らしいと思う。
 
また、内容が結構ディープというか、暗い話なのに妙な明るさで照らし出されているのも作品の特徴だろう。
重い内容なのに重く感じずに読める。かといってあっさりしすぎということもなく、ほどよい重みと読後感を味あわせる。
読み終った後に、この二人の話をもっと読みたいと思わせる魅力がこの本と登場人物にある。
 
個人的には、
P149の『願望だってわかって書いてる。それがはっきりしてるから、いい話なんだと思う』という言葉が非常に胸に染みた。
ああ、僕もそういう話が好きだ、と思った。
 
素直にオススメできる内容の作品です。
この作品が面白いと思った方には「蒼林堂古書店へようこそ 」「追想五断章」「成風堂書店事件メモ」辺りもオススメ、というかそれぐらいしか見つけられてないんですけどねー。