子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき

スニーカー大賞受賞作。まさか日常ミステリー風な作品だとは思っても見なかったです。
作品の性質からしてコミカライズ化、アニメ化しやすそうだけど、あともう一歩といったところか。
 
おそらく作者はこれを日常ミステリーとは描いてはいないと思う。けれど読者の大半はこれを日常ミステリーと捉えると思う。
そこにこの作品が意図する中身と齟齬が生じるのではないだろうか。
主点となるべきはミステリー要素なのではなく、登場人物たちの心理なのだと思う。なのだけど、ミステリー要素の明解さに比べて、登場人物たちの心理が少々わかりにくい。それが物語の中心をミステリー要素だと勘違いされる原因なのだろう。
 
簡単に言ってしまえば、主人公はFate/stay night衛宮士郎(=正義の味方)と同じなのだろう。多少、性質の違いはあるものの、それで間違いないと思う。その彼を中心にしつつ、多角的な視点で彼と彼の周囲にいる人間=ヒロインたちの性質を描いている。
ただ、それが回りくどいというか、ピタリとこないというか。
中心と来るのは『人間関係』なのだろう。様々な人間関係とそれぞれの距離の取り方、それを描いた作品なのだ。
 
だから、ミステリー要素自体はエッセンス程度だと思えばいい。
分かりにくさはあるものの、人間関係に着目して読んでみるとこの作品は大賞という言葉並に楽しめるのではないだろうか。