シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と青の公爵

手堅い作品。恋愛色を含めながらも、主人公の職業に対する強い意識が出ていて、うまくバランスが取れている。
前作が男子がイメージする少女小説を具現化したかのようなテンプレート作品だったのに対して、本作は独自路線をうまく昇華させ、手堅い作品となった。
やはりこの作品のレベルは非常に高い。文章は読みやすく、キャラクターも好感が持て、展開も前回のような型どおりのものから捻りの加わった展開となっており、読み応えがある。
 
ただし、おかしな部分もあって、金銭の価格が色々とおかしい。1クレス=100バインが通貨単位で、ある宿で一人一泊30バイン。そして、小麦一月分が50バイン、高級宿屋が5クレス。砂糖菓子の最低額の相場が1クレス。で、3クレスだと貧乏らしい。
そして戦士妖精や愛玩妖精が一人最低価格で100クレス。
まっあれですよ、小麦安過ぎね? そしてお婆さん、貧乏すぎないか? 昇魂日を向かえる前に飢え死にしないか?
何気ない台詞で財政が破綻しているような気がするんですけどね。砂糖菓子の最低額の相場を10クレスして、小麦一月分が5クレスで、他のも値上げすれば帳尻が合うような気がしないでもないが……。
オリジナル用語が多い場合、独自の金銭や距離の表記は細かく設定するか、ぼかすかしないと荒が出てきますね、うん。
 
それ以外は特に気になった部分はなく、面白く読み勧めることが出来た。
まさかジョナスに出番がまだあることが一番の驚きである。普通だと新キャラが出そうなものだが、ここであえてジョナスを登場させたことでその後の展開が読めなくなっていて、うまいなぁと感心した。
全体的にテンポの良い部分ではあるものの、銀砂糖菓子を作る行程が前回ほど力が入っていなくて少し残念かな。
ここだけは全体のテンポを無視して、神秘性と神聖性をゆったりとしたテンポで描いて欲しかった。制作での表現は面白かったもののそれだけではちょっと物足りなかった。せっかくの独自性、生かして欲しいものである。
 
で、どうやら第3巻出るらしいんですけど、次は再び砂糖菓子品評会の話らしい。
えーと、昇魂日はいずこへ? あれだけ作中で気にしているから2巻で来るのかと思ったらこなかったので次かと思ったらそんなのもう終わったよ、になるみたい。
それでいいのか?

あと最後の結末部分の日付の辺り、色々とおかしい気がするんだけど、気のせいかね?
単純に指摘するなら、事件後3日しか経ってないのに後日談を載せるからおかしく感じられる。
単純に本当なら処刑をされるはずが処刑されずにすんだ。だけでよかったと思う。後日談は3巻辺りで語ればいいのに、ここに入れるから時間軸があべこべになっている気がしてしまう。
結局事件後三日しか経ってないのに、噂は広まりました、ということなんだと思うけど。
 
 
手堅いんだけど、細かいところで荒が見える。他の人は僕が気になった部分とか、気にならなかったのかなぁ。