ベン・トー〈5〉北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円

第一巻から軸がぶれずに半額弁当争奪戦の熱さを描きつつ、読者があまり求めていないブラックジョークを削り、セガゲームへの作者の個人的情熱をうまく組み合わせてきた本作はここにきて洗練されたシリーズとなった。
あるいは編集者が読者の感想をうまく取り入れて編集させた功績が大きいのかもしれない。
どちらにしろ、第一巻では万人にオススメできなかった作品が、この5巻では随分と万人向けになりつつ、大事な部分は失っていない形となった。
これは素直に賞賛すべきことであり、今後このバランスを失わないよう気をつけてもらえると嬉しい。
 
ベタ褒めなのにはもちろん理由があって、作品それ自体の良さは当然だが『悠久幻想曲』の名前を出された以上は褒めないわけにはいかない。悪かったら悪かったで普段以上にマイナス方向で感想を書くと思いますがね。
ちなみに『悠久幻想曲 保存版 Perpetual Collection』は発売当時に定価で買いました。
 
さてそんな本作だが、シリーズとして磐石化している分、最後の意外性がないのは残念か。
熱くはある。燃え上がるような熱意みたいなものは感じる。しかし、ドキドキやハラハラがこの作品にはない。シリーズモノの宿命なのだろうが最後には手に入れる、という結末の安心感がスリルを阻害している。
シリーズの形としては安定しているのでこれはこれでいいのだが、そういうものも求めたくなる。
 
個人的にはこの作品は邦画で見てみたい。戦闘シーンを無駄に熱く、CGやワイヤーアクションを使った形で、だ。
まぁ今の日本映画市場では厳しいし、たぶん中途半端な作品になると思いますけど、ね。
なんにしろ、この5巻は素直に賞賛できる良い出来。
ほど良くアクが抜けた感じです。