ぐらシャチ

ぐらシャチ (電撃文庫 な 7-13)

ぐらシャチ (電撃文庫 な 7-13)

ウォーミングアップといったところか? 好意的に見ればそういう風に思える一作でした。
ダブルブリッドで長年読者を待たせた中村 恵里加・最新作! イラストもがらっと今の流行風なものになった本作はダブルブリッドやソウルアンダーテイカーに比べると毒は少なめでした。
 
主人公が違うと物語はこうもポジティブになるのか、と思いました。
作品自体は作者お得意の人間と怪物とのふれあい物語。ダブルブリッドと同じ、意思疎通は出来るのに、根本が異なる両者の間には触れ合うたびに齟齬が生まれてしまう。
ダブルブリッド一巻を青春風味を加えて焼き直しをしたような作品。
グロテクス具合は控えめで、むしろ異質なものに対する恐怖や気味悪さを出している。それが今回のイラストと加わって、いい形で青春系ライトノベルで落ち着いている。
 
ただ、最後のあの盛り上がりに欠ける戦いは残念。抑えたのか、抑えられたのか、はわかりませんがラストがそうなることは誰もが予想できる展開として、もう少し戦い自体のテイストを増やして欲しかったかな。
そこに重きを置いていないのはわかるんだけど、ちょっと物足りなくて、それが総評となってしまう。
 
全体として物足りない出来、というのは期待が大きすぎたせいかな。
ダブルブリッドの次、ということでウォーミングアップぐらいに捉えれば満足できる作品である。良くも悪くもライトノベルである。
 
個人的には中村さんにはメディアワークス文庫かハードカバー系で一冊読みきりの凄いのを期待するんですけど、今はまだ無理かな?
 
ダブルブリッドほどの痛みはこの作品にはないので誰でも手を出して大丈夫かと。
問題はこのあとこの作品が続くかどうかです。続くと、痛みが出てきそうで、ホラー映画を見る前のドキドキ感を抱きます。