エノーラ・ホームズの事件簿

エノーラ・ホームズの事件簿 ~届かなかった暗号~ (ルルル文庫)

エノーラ・ホームズの事件簿 ~届かなかった暗号~ (ルルル文庫)

さて、またかと言われそうですが、大絶讃しているシリーズ『エノーラ・ホームズの事件簿』の最新刊が発売されました。
もちろん発売日である本日購入し(今回は女性の店員さん)、先ほど読み終わりました。本当はもっと早く読みたかったのですが、発売日前日は遅番で、そこから13時間くらい? サービス残業していたのでさすがに睡魔に負けて読むのが遅れてしまいました。
それでも、起きた瞬間から読み出した最新刊。
高坂戒といえば『エノーラ・ホームズの事件簿』を一押しする、と思ってもらってもいいくらいこのシリーズだけは外せません。
あれれ、なんだか訳者のあとがきに僕の感想についてコメントがあるような気がしますが、きっと気のせいでしょう! あれです、あれ、えーと被害妄想じゃなくて、自意識過剰ですねっ!
 
そんなわけで、誰が読んでいても気にせず、今回も感想を書きます。
今回はエノーラの下宿先である主人ミセス・タッパーのもとに送られた脅迫状から始まり、誘拐事件にナイチンゲールと面白い展開です。前巻でナイチンゲールが出てくるとあとがきにあり、ちょっと小首を傾げていたのですが、読んでみるとなぜ必要だったか納得しました。
今回は一つの話としてもまとめつつ、かつ次へ繋がる展開であったため今までよりはカタルシスは控え目。あとホームズ兄妹の推理合戦と帯にありますけど、コナンVSルパンといい、VSとか合戦とかの意味をもう少し大事にした方がいいんじゃないかなーとおもったり。全然推理では対決してませんからね、この兄妹。(むしろ共闘)
 
さて、そんな前置きはおいといて、本作の感想に。
前回の感想が作者に届いたわけではないと思うが、今回のホームズはさらりと名探偵である部分を出しつつも、作者が一巻で出した女性蔑視部分を改める部分も出ていてバランスが取れていた。若干ネタバレになってしまうが、エノーラよりも先に事件の真相にたどり着いた、という一文。ここが素晴らしい。
この一言が入るかどうかは結構大事で、これによりホームズがエノーラよりも優れていることが出せ、なおかつエノーラを光り輝かせることに繋がっている。
この辺り、どう輝かせているかは実際に読む楽しみにして欲しい。
 
あと、毎度の追いかけっこは今回はハラハラ感よりアクロバティックさが際立っていた。そりゃ、ホームズも心配するわ、と読者も唖然とする行動ぶりである。
今回は運動量が多く、頭脳労働は比較的少ない。というか、脳に栄養が足りてないわ、睡眠不足だわで前の巻まで見せていた明晰さが抑え気味になっている。変装も控え目で、推理もなんだか運任せの要素が強い。
どちらかといえば年相応で、行動的な女の子がとにかく動いてがんばっている感じだろうか。
雑役メイドのフローリーに対する態度は一見すると見下しているようだが、本人かなり混乱してね? 混乱と怒りで、けっこう無理難題を相手に要求しているような気がしないでもない。なにしろ、誘拐されたのは自分の軽率な行動のせいだし、ミセス・タッパーはいないし。
まぁそこを反省する部分は一切ないんですけど。
その辺り、言葉足らずな面もある。そのフォローがあると、上記のようにすんなり行くだろうが、ないので深読みしないと嫌な女の子になってしまう。
 
なので、フォローがないのでそのまま読むと、結構嫌な女の子だ。上流階級であること(自分が頭がいいこと)を鼻にかけているようにも見えなくもない。まぁそれらしき部分は今までにもあったけど、フローリーとの会話は微妙だ。
それでも140〜141ページを読むと、魅力的な女の子であることもまた伝わってくるんですけどね。
 
 
以上から、今回は主人公エノーラの魅力が今までほど輝いていなかったことが少し残念な物語であった。(あくまで今まで、であって十分魅力的な女の子である)
ストーリーとしては悪くなかったのですが、今までと比べると少し見劣りしてしまうのも事実。母親に関しても達人クラスになっているので思い悩みませんし(この表現には笑いましたが)、本人の葛藤がない分、さらっとしていたかな。
次回、すごく残念ですが最終巻ということで、5巻では表現し切れなかったエノーラ本来の魅力を最大限に見せて欲しい、と願わずにはいられない。
 
最後に、2つ。
すごいネタバレになるんで書けませんが、113ページ最終分の元の文章がすごく知りたい。
そりゃこんな言葉を発せられたら誰だって振り向きますわ。驚き方がギャグになっている。まさか推理の大事なひらめきをギャグにするとは……おそるべし、作者or訳者?
 
もう一つは、要望というか、なんと言うか、
エノーラって、なにげに眼鏡っ子だよね! 137ページの挿絵とか171ページの挿絵のエノーラとか眼鏡姿が素敵過ぎて眼福でした。
前回の丸みのある眼鏡より、今回の眼鏡の方が似合ってる。
なので最終巻ではぜひ、カラーで眼鏡姿のエノーラを見たい。あっ眼鏡は今回ので。(笑)
 
 
 
今回も面白さはK点をきちんと越えておりますので、興味をもたれた方はぜひお読みください。
高坂が他人にオススメする数少ない面白いシリーズですので。