鷲見ヶ原うぐいすの論証 (電撃文庫)

鷲見ヶ原うぐいすの論証 (電撃文庫)

つまるところ、電撃文庫なんかにミステリーを求めたのがそもそもの間違いだったのだろう。
以下、この本のネタバレと批判的な文章が続きますので、読みたくない人は読まないでください。
 
 
 
さて、この物語はミステリーである。そこに奇人変人、天才に魔術師、特殊な才能の持ち主が現れてライトノベルだからこそ許される特殊ミステリーが完成したわけだが、380ページもある話で230ページくらいでほぼ全部わかってしまうミステリーはどうなんだ?
ミステリーが苦手で、探偵がお披露目をするまでわからないことが多いのだがはてさて。それとも、作者は読者が勝つことを前提にあの結末を書いたのだろうか。
どちらにしろ、お粗末な話だ。
 
まず思ったのは、これは何かの続編なのか、ということ。表題からして新シリーズだと思っていたのだが、そこら中に0巻の部分が出てきて、しかもそれが主役二人と一人の人間関係のきっかけやら何やらの説明となっているのだから、正直読んでいる方はなんだこれは、となる。
そんな説明じゃなにもわからない。というか、好感抱けないよ。せめて、回想シーンでも入れて二重ミステリーにでもしてくれ。
導入からしてなかなかに酷い。結構な置いてけぼり具合に3回ぐらい挫折し、買うの間違えた、と後悔させられたほどだ。
おかげでまったくもって主人公たちに好感を持てなかった。探偵役Aと助手Bでも十分なくらいだ。なんか途中で盛り上がっちゃってくれてたけど、マジどうでもよかった。
キャラクター小説としては、まずこの段階で十分終わっている。
 
キャラクターが登場したら、今度は世界観の説明である。うん、中高生は楽しいだろうな! 中高生は。
小難しいような、どこか聴いたことのあるような物理やら数学やら哲学やらでの論証と説明。まぁ作品の性質を示したかったんだろうけど、いいわぁ、この歳で、この手の物を読まされるのは正直辛いわぁ。
中高生なら大絶讃なんだろうけど、そんなのどーでもいいからもっとキャラクター同士の生きた会話とかで話を進めて欲しかった。
もうあれだ。川上稔みたいに大前提としてこーだと当たり前のようにしてくれたほうが楽。現実に無理やり当てはめようとするから逆に面倒臭い感じになっている。
 
キャラクター登場、世界観説明と続いたら次は舞台移動である。人里離れた洋館。うん、すばらしい。ここまで来るのに70ページ費やしてるけどね。で、事件発生まで70ページ。ペース配分うまいことはうまいんですよね。
そこからさらに70ページ後に、大体読者が結末を読める要素を提示しきる。そこからさらに70ページで悪魔について書き、ラストで最後の説明をする。
要素を分解すればページ配分はうまく、何冊も本を出しているだけはある人の作品である。
 
ただ、ラストは蛇足なくらいがちょうどいいと思うぞ。あっさりとしすぎ。作者的にはもうこの時点に来る前に読者は完全に読みきっているという前提なのかもしれないが、推理小説の解決部分とはくどいくらいな方がむしろたのしいというか、論証とするなら。ここでくどく、もうわかっているんだよ、といわれるくらいの説明の方が良かったなぁ。
 
構成はうまいんだけど、この作品はそれだけなんだよなぁ。
ミステリーとしても、キャラクター小説としても、下の中くらいしかいかない。半年後にはもう忘れられてそうな気がする。
構成がうまいので、今後ミステリーはいろいろ書けるだろうから、もう少し魅力的な(萌えという意味ではない)キャラクターを出して欲しい。人物的にこのキャラクターたちが出会う事件を追いたいとは思わない。
ぶっちゃけ、今回の犯人を主人公にしたミステリー小説を読みたいぞ。
 
悪魔が探偵をやるなんて、それだけで面白い。
もちろん、事件は人間的なもので、助手役には超感覚なんてない平凡な子を期待する。ああ、ただし悪魔は18歳以下の可愛らしい外見の女の子ね。イケメンな悪魔とか、お姉さま的な悪魔はいらないです。ロリも飽きたからいらないわ。今回の犯人のような探偵を用意して欲しい。

エロいし、自信家だし、超能力持ちだし、百合だし、この犯人……探偵役に最適じゃね?
そんな感想を抱く話でした、これ。