連射王

連射王〈上〉

連射王〈上〉

すごく、中高生の夏休みの読書感想文の課題図書で読んでもらって感想を聞いてみたい図書でした。
電撃文庫で鈍器と呼ばれる厚さを書く川上稔によるハードカバー小説は、小中高の学校の図書室に置いておいて欲しいと思うような図書でした。
 
物語は何事にも本気になれないと思っている少年が、ふと見たゲーセンでのシューティングゲームのプレイに心奪われ、自身が本気になれるものを追求していく青春物語である。
上下段の文章に加えて上下巻の構成と川上稔節が発揮されていますが、文章は川上稔の文章とは思えないほど読みやすい。専門用語がないだけでこれほど違うとは……意図的に文章を変えているんでしょうが、こちらはこちらで面白かったのでありです。
 
今回特に勉強になるのが下巻の中盤部分。決戦前の14日間は実に読み応えがありました。
ここの描写を丹念に描けるかどうかで物語の厚みが変わりますね。特に最初の三日間はすごく勉強になりました。丁寧で丹念に描かれた部分は生かしていきたい。
また、随所に出る川上稔特有の女性キャラらしさは今回も面白い。リアルな部分とリアルでない部分の組み合わせ方が絶妙です。過去話を語る際のところやラーメンの部分などニヤニヤしながら読んでました。
 
本作はシューティングゲームを題材としているだけあってすごく描写の量が多い。それでいて後半部分までだらけていない部分がすごい。大抵同じ事を描いていると描き方が尽きるのですが、それをうまく誤魔化しつつも丹念に描かれていて驚かされる。
 
テーマが『本気』であり、主人公が高校生で、題材がシューティングゲームとなるとまさに小中高生に読んで欲しい作品ですね。
分厚いですが読みやすく加減されてもいるので普段本を読まない子でもがんばれば読破できるはず。
そしてこの作品なら読書感想文がすごく書きやすそう。
作者的にはこれはハードカバーでなく、文庫の方がよかったのかもしれないけど文庫になったら4巻分くらいになるからなぁ。ハードカバーでないと出せませんね。
 
そんなこんなでやっぱり川上稔の作品は色々と勉強になります。
こういうラノベと一般文芸の間くらいの文章と作品を僕も書いていきたいですね。