秋期限定栗きんとん事件

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

ちょっとしたミスでマイドキュメントに保存していた大半のファイルが消えてしまい、今まで書いていた小説の大半も消えてしまった状況もどこ吹く風のごとく、米澤穂信作品の最新刊を読む高坂です。
必要最低限は復元できたし、まあいいかと読み始めた本書。相変わらず面白いです。
 
今回はあらすじで小山内さんに彼氏が出来ると書いてあったら、同時に小鳩君も彼女が出来て、あらすじ違うじゃんとかツッコミを入れたのが始まりでした。
今回はさらに小山内さんの彼氏からの視点も加わり、出番の減った小山内さんの暗躍振りが随所に見られて、物語の主軸である放火事件の犯人はまさか? と思わずにはいられない展開にゾクゾクしました。
 
だというのに肝心の小鳩君はバスの席問題を考えていたり、彼女の話の落ちを考えていたりと平和なことこの上ない。それでいて後半にもその部分がさらっと生かされているのがまたすごい。
毎回読むたびに思うが、米澤作品の伏線の張り方と回収方法には驚かされる。
 
上巻ではのんびりと日常を過ごしていた小鳩君も後半では相変わらずの名探偵ぶりで、今回は特に対比対象がいたので彼の探偵としての能力の高さがよくわかり、読んでいてスッキリとする。
ただ犯人に関してはまぁ予想の範囲内なんですが、そこまでの絞り込み方が秀逸なので、それと同等の方法を思いつかなければ小鳩君に推理で勝ったとはいえないんでしょうね。
 
もちろん、小山内さんはますます暗躍し、最後の最後で面白く納得の言葉で物語を閉めてくれる。
そう、これこそ小市民シリーズと言わんばかりの終わり方である。
当然、人死には今回も出なかった。
 
春、夏、秋ときて次が冬。また春が来るのかどうかはてさて。