スクランブル・ウィザード

スクランブル・ウィザード (HJ文庫)

スクランブル・ウィザード (HJ文庫)

来月続刊が出る前に、というわけではなくたまたま手に取った本がこれだっただけでした。
HJ文庫大賞作品ですが、大賞という割にはこじんまりとしていて今ひとつ描くべき部分を逃して、変に安っぽいドラマが入った作品に思えました。
ライトノベルらしい伏線の張り方と呆れるような能力設定。そしてご都合主義的などんでん返しによく言えばテンプレどおり、悪く言えば先が読める物語でもあり、あまり先の推測をしない僕でもさすがに後半の展開には辟易としました。
 
一番の難点はキャラの背景が多すぎる点。ぶっちゃけ敵側の背景なんていらないでしょ。そういうのは続刊が出てきてから描けばいいわけで、変に挿入するから安っぽく、こじんまりとした物語になっていて、しかもその背景に関係するのは周囲の人間だけで主人公は結局最初から最後まで何も知らないままで、ただの贅肉になっている。
むしろそういったことは続刊に伸ばした方が物語として深みとなるが、無理に詰め込むと安っぽいドラマになる。むしろサブの二人に加えて、一般教員との交流(というなの〜)を描いた方が色々と面白かったし、この世界の普通の人と魔法使いの違いが浮き出たのに、もったいない。
せめて校長先生くらいはもう少し面白おかしく利用して欲しい。
 
主人公とヒロインに関して言えば、魅力はあるが人によっては両方とも微妙なところだろう。特に主人公はたかが20歳で悟りきったような態度でいることが中二病全開である。正直、教師の友人から話を聞いたりして、その職業の辛さを横から聞いているような身でも、この描き方は好感が持てない。
まぁ漫画やアニメの教師なんてそういうものなんですけどね。
 
どうも長期シリーズをHJは企んでいそうだけど、この作品を軸にするのはうーん。
悪くはないけど、大賞という賞を与えるには力不足。2巻でどういう展開があるかで読者層が増えるか減るか決定しそうな気がします。
悪くはないんですよ、悪くは。