エノーラ・ホームズの事件簿 ふたつの顔を持つ令嬢

エノーラ・ホームズの事件簿―ふたつの顔を持つ令嬢 (ルルル文庫)

エノーラ・ホームズの事件簿―ふたつの顔を持つ令嬢 (ルルル文庫)

 ルルル文庫の海外翻訳シリーズは地味ながら良作が多そうで困ります。なにしろ、大本の執筆者と読者である僕には今まで読んできた本や表現の仕方、特性や文化がまったく異なるのですから味わい深い物語や表現を味わえます。
 そんな中で僕が読んでいるのが、エノーラ・ホームズの事件簿。
 誰もが知っているシャーロック・ホームズに妹がいた!? その妹はあのシャーロックを出し抜いて家出を成功し、今はロンドンの町で懸命にひとりで道を貫いている。まぁそんな物語です。
 
 今回も前回と同様に時代背景の細かさや丁寧さにはうならされます。またこちらも前回と同様なのですが服装や小道具に関する描写の量は読んでいて面白いです。特に今回はエノーラが三つの変装をするのですがそれを丁寧に、どのように行い、どういう点に気を使っていて、どうすればどう見えるかとか、どう見られているかとか書かれていて、服装描写を読むのが大好きな僕にはとても楽しい。
 ただこの作者の欠点としては人物描写が淡白なところ。250ページクラスなので小説の量的には少なくないのですが、もう少し人間の描写や贅肉があると面白いと思うんですよね。その分、ヒロインのエノーラを色濃く描いていて、その時代、たった一人で生きていくことへの孤独や温もりへの渇望といったところが色々な要素から浮かび上がってきていて、面白い。
 そうした点はとても優れている反面、推理物としてのストーリーには難がありました。それはまぁ読めばわかるのではないかと思います。エノーラが光輝く魅力溢れた人物であることは十分わかりますが。
 
 驚いたことは、翻訳者のあとがきでこの作品が最近のものだということ。もっと昔に書かれている物語だと思っていました。現地では三巻が最近発売され、四巻が刊行予定ということで小学館にはもちろんずっと追いかけていただきたいですね。
 もちろん、出る限りは追い続けて生きたいと思います。はてさて、2巻のラストから3巻はどうでるのやら。あと3巻はいつ出るのか、不安です。