秘密の花園

秘密の花園 (新潮文庫)

秘密の花園 (新潮文庫)

 同じ私立の女子高に通う3人の少女をそれぞれの視点から描いた「洪水のあとに」「地下を照らす光」「廃園を花守りは唄う」の連作3編。
 少女たちにはそれぞれ「秘めごと」を抱えており、それについて悩み苦しみながらも生きている。3人の少女たちはそれぞれ友達同士であるが、互いにその悩みを言えそうで言えず、1人で抱え込み、答えを出そうとする。
 
 図書館先輩という先輩が三浦しをんの「悶絶スパイラル」が当たりだといったので図書館で調べたところ、偶然見つけたのでした。それまでこんな百合系統の小説があることを知りませんでした。どうも百合姫とかでコラムとか書いている人で、百合界隈ではそこそこ有名なのでしょうか。
 万人にオススメする物語ではありませんが、
「友情というにはいささか逸脱しているこの思い。でも濃いとも少し違う。言葉にすることが出来ない感情は、それでも確かに胸の内にあって、そのことを考えるといつも少し泣きたくなる。
「さあ、これが恋かどうかはわからない。確かなのは、きっとその人は別の誰かを好きになる、ということだけよ」
「友情というには濃密で、恋愛というにはあまりに素っ気ない」
「友情に濃淡があって、恋愛にも濃淡があって、でもその微妙な濃淡の狭間、あるいは重なり合っている部分に、あの二人の関係はあって、そしてそこはまだ誰も踏み入れたことのない秘密の場所なのだろうか」
 そういった文に心が惹かれたなら読んでみるといいかもしれません。あと、3人のうちのBが旅行のお土産でAとCにおそろいのブレスレットを送るとかいいなぁと思う人なら読んでみると面白いと思います。うん、おそろいの何かを他人からのプレゼントでとか面白いなぁと僕は思いましたが。
 
 ストーリーとしては面白いんですけど、場面転換が激しすぎてやや読みにくいです。また急に表現が難しくなったりするので思考がジャンプして大変。神話はわかるんですけど、詩が苦手。
 その辺り、なんとも難しいのですが、3人の少女の視点が一話ごとに変更となるので、それぞれから見たABCの少女たちのことが実に面白い。
 
 百合が好きなら目を通しておくとOKかもしれません。特にCの物語がよろしいです。