読書感想文3

 2回目の感想文後に大量に読める機会があったので、感想を書けるだけの量が貯りました。また書き連ねていこうと思いますので、興味がある方はお読みください。今回も毒を含んだ感想となるでしょうが、基本的にはそのレベルの高さに白旗を上げた負け犬の遠吠えぐらいだと思っていただけるとありがたいです。また、ネタバレを含みます。この感想文を読んだ人がその本を買いたくなるようにオススメする推薦文ではなく、僕個人の傲慢な感想文だということを理解して、お読みください。
 
 その覚悟がなければ、決して読まずに、下記の『本屋の森のあかり』でも読んでてください。

【しぐまん商店】:「チャイルド」

 子供、社長、帰る、という単語に惹かれて買ってみれば、思っていたのと異なる展開で先が読めなかった分、楽しめました。これをコミケで見たとき「社長って何!?」と驚いて、どう話を展開するのか興味深かったのですけれど思い違いだったみたいで、それはそれで残念。全体として描写は少ないですが、主人公の性格や少女の愛らしさがよく表現されていたように思います。
 問題としては、作法をもう一度チェックして欲しいということ。最後のプロポーズの部分の会話は完全な蛇足であること(プロポーズの会話がないので読者には会話の内容がまったくわからない)、ミステリー的な展開の割りに伏線がほとんどないこと、記憶に強く残っている場所と言いながらそれを示す表現が回答まで一切なかったこと、等があげられます。
 物語としてはきちんと終結しているので、よくまとめていると思いますが、荒い部分が目立つのも事実で、アドバイスをするなら、一度書き上げたあとに推敲をすることでしょうか。特に伏線や表現の追加などは推敲のときにやると結末で何が伏線になるかわかるので最初から組み込むよりも容易です。
 28ページの社長の言葉を大きくしているのとかは好きですけどね。それなら、少女の声を小さくしたりするのも面白いとも思います。
 全体としてのまとまりはあるので、あとは推敲を繰り返して、追加と削除、作法の訂正と逸脱(意図的な)を行えばもっと面白く完成度の高い小説になるだろうな、と思いました。

東京理科大学文芸部】:「モノクローム6」

 東京理科大学の文芸部の方が書かれた文芸誌。購入の決め手になったのはその肩書きからで、一応中身は見て、それなりに作法は守られているようだったので買いました。だって、興味深いじゃないですか。東京理科大学という理数系の大学の文芸部の方が書いた作品なんて。
 で、読んでみて思ったのは、正直なところ「残念」といったところです。それは作品の質とかではなく、せっかく理数系の大学に通っているというのにそれを生かした作品が一つもなかったからです。一部数学的な部分が出た作品がありましたけれど、全体から見ればないに等しく、他の人が持てない自分の知識を生かしていないのが残念で仕方がなかったです。例えば、理数系の大学出で作家としてそれを生かしている「夏緑さん」や「清水文化さん」の作品とかを知っていると余計に残念に思えるんですよね。
 もうね、こう云うのは知識のひけらかしでいいんじゃないかな、と思います。それはコミカルに物語りに絡めて描けたらそれだけでもう読者は楽しいんじゃないかな、と。置いてけぼりは置いてけぼりで、楽しいものです。(SFはあまり好きではないですが)
 さて、だからといって作品までも面白くなかったというわけではないので、小説のみの限定は相変わらずですが感想を返したいと思います。詩は……わかりません。
 「夕日の教室」は読者を混乱させて「逢う魔が時」を表現できていると思います。読後感は「う〜ん?」と作品の中身を理解し切れなくて、なんだか色々と煙に巻かれたような気分になりました。そういう意味では成功しているんですけれど、人によっては意味不明、で終わったり、読みにくい、と思ったりするかもしれないなぁとも思いました。あとはもうちょっとリズムというか、テンポというか、韻を気にして作ってみると良い小説になると思います。こういう小説は一度でも止まると眠くなるので、韻やテンポで読みやすく読者を誘導しないと厳しいかもしれませんね。
 「親愛なるマウス」は個人的なことですが、不愉快でした。それはまぁ僕が心理学を大学で専攻していたという過去があるからなので、大半の人はそんなことで不愉快には思わないでしょうが、僕はそういう経歴があるので心理学を扱う小説はそれが余程納得できるものでなければ、基本的には不愉快です。また、理数系の大学の人が何で心理学を作品に扱うのかさっぱりわかりませんでした。
 作法もきちんと守られているし、表現も丁寧なんだけれど、どうにもちぐはぐです。特に主人公自体の性質が一貫していない。エリート意識が高く排他的な性格で感情ではなく理論で考える人間なら、研究対象(山上)相手にいらいらするってどうなの? 心理学者の癖に、感情論〜うんぬん、と語りながらそう思うのは矛盾しているような。
 この物語を描くなら、主人公は坦々としていて自分の感情に鈍くなければならない。氷のような感情で、それが最後に「マウス」と読んでいた彼女の愛によって、氷を溶かし、感情の芽が生まれるという形でないといけない。
 テーマはわかるし、全体としての流れもわかるけれど、こういうテーマをこの短さで描くのは無理があると思いました。出会いからここまでを一つ一つ描き、その中で、少しずつ変わる主人公、とした方が面白いと思うのはきっと僕だけだろう。
 「Chaos Jihad」はおおっファンタジー、というだけで、インパクトや次を期待させる部分が弱いと思いました。ファンタジーとしての設定はどこかにありそうな、しかしこれくらいきちっと決めているなら世界観はそれなりにしっかりしているのかな、と思える表現量でした。うん、表現量は感嘆の域が出るほど。しかし、作法はもう少し勉強が必要かな。既存の小説と自分の小説を見比べて欲しい。あるいは、「親愛なるマウス」の人から教わるのもいいかもしれない。
 ライトノベル的ファンタジーとしては完成度は高いと思うので、あとは風呂敷を広げすぎないこと、最強キャラを出さないこと、伏線を張り忘れないこと、を念頭に置いておけば面白いファンタジー小説になると思います。さすがに、この短さで面白い面白くないの判断は出来ません。
 「監視」は内容としては面白い。この冊子の中では一番わかりやすいし読みやすい。ただ、理解という意味では最後の部分が曖昧にしてあるので難しい。それぞれの語りはわかりやすくそこに淀んだ狂気が窺い知れて楽しめます。
 あとはまぁ、推敲を。とにかく推敲を。この作品の欠点は、一人称が「私・俺・僕」しかないこと。この作品には五人の人間が登場する。それなら一人称を分けた方が個々がわかりやすい。
 この作者は乙一とか好きそうだな、と思いました。

【伊月めい 彼佐真近 しみずかおる 亜部めぐみ】:「Winter Event」

 冬をテーマに描いた百合短編集の競作本。さすがにこのクラスになると皆さんレベルが高く、描写・個性・キャラなどに特色があり、それぞれがどういう作品を個々で描いているのか興味が持てる内容でした。ただ、どの作品も出張版みたいな形だったので、初めて手に取る人間にはかなり厳しくもありました。
 無料冊子というか、ボーナス冊子かな。新規開拓ではなく、以前から知っている人向けみたいで、残念。このレベルの方々のオリジナルショートショートがどういう作品になるのか。
 で、感想なんですけれど、書けません。出張版は出張版。この短さから全てを読み取り、楽しむのは不可能。レベルの高さを知る参考にはなったので、次回は個々のサークルでどのような作品があるのか知れたらいいな、と思います。

【Concealed Wings】:「夜空の道標」「ミューズの溜息」:http://hisaka.whitesnow.jp/cw/

 さらに二冊読破。「ミューズの溜息」が最新みたいで、久家さんはおやすみみたいで少し残念。一番新しいので現在の状態や内容を知りたかったのですが。
 九条さんの作品は、新シリーズみたいで今までと少し空気が違っておりました。楽しめたかどうかだと「う〜ん」といったところ。理由としては、主人公(?)である「かぐや」の性格が安定していないようなしているような、なんだろう、口調と性格と設定が今ひとつ馴染まないのでしょうか。う〜ん。
 次にゲスト参加の御月さんの作品は、なんという少女漫画、でしょう。丁寧でゆっくりと描いた展開から急に動に変わる辺りが実に少女漫画っぽい感じでした。あと質問なんですけど、この「伝承式」はいったいいつ行われているのでしょう? 文化祭? それとも卒業式間近の時期? 私、気になります。

読書感想文3

 今回の感想文では、推敲を強調しました。推敲は大事です。推敲をすればするほど作品は磨かれ、完成度を高め、良作へと仕上げられていきます。小説を一本書き上げたとき、達成感を抱いてしまうでしょうが、そこで終わらずに根気よく推敲を繰り返せば、さらに良い小説へとなります。逆に書き上げたばかりの作品は荒書きでしかないともいえます。
 僕の場合、推敲を一切しません。それは僕が発表しているのがWebだからです。いまのところ、僕は一つを極めるより多くの物語を書くことに力を入れています。そしてそれを許されるのが、Webだと思っています。読者が作品を読むのにお金、かかりませんしね。もし、本を創るなら推敲は必須ですが。(誤字脱字が多い人間なので)。
 なんにしろ、よい小説には推敲が必須ということ。
 僕のHPで連載している小説も本という媒体で出すときはきっと全然違う形になるんでしょうね。はてさて。
 
 読書感想文みたいなこともあと二回くらいで終わりでしょうか。多くの人に嫌われてしまったかもしれませんが、僕個人と作品の内容は別物なので、その点だけはわかってもらえるとありがたいです。