『花神-KASHIN-』の感想

 すごく素敵な作品。素直に感動できて、うわっ感動しているよ、俺、と自分で自分に驚くくらいでした。
 物語は主人公である赤毛の狼と白ウサの出会いから始まる、江戸か明治くらいのとある雪山の寒村を舞台にしたまんが日本昔話みたいなシリアス路線の真面目な漫画です。真面目といっても、狼と白兎が時折擬人化されるので和みます。すごく丁寧に描かれていて、一コマ一コマが大切に扱われています。特に54ページは物語との関係も相まって感動を呼び起こす一枚になっています。
 これは何で描いているんでしょうね。鉛筆? トーンを使わずに全て手書きだとしたらすごい労力がかかっていそうです。
 あえて要望を出すなら、11ページの伝説を語る部分の赤狼の絵はもう少し絵柄を変えてみたほうが効果的かなぁと思いました。ゲームの大神(?)みたいな? そのほうが印象的になりそう。あと36ページの最後のコマはもっと迫力が欲しい気もします。ちょっと全体に埋もれて、赤狼の怖さが表現し切れていないかもしれません。
 でもでも、それ以外はもう本当に素晴らしい出来なので、評論かぶれなここは無視して下さってかまいません。

 ストーリーには荒もなく無駄もない、綺麗な一本道のお話。それぞれの行動に理由があり、納得できる分、悲しいお話です。荒ではないんですが、物語で輸血が関連するところがあるのですが、ここで少し僕は詰まったかな。単に僕の知識不足で、それは実際にあった方法なのかとかいう部分が気になりました。どうなんでしょう? この部分、何かで解説があるとスッキリするんですけど。
 
 長々と書いてしまいましたが、書いてしまうほど良い作品だと思います。こういう作品にコミケで出会えたことが嬉しいです。コミケでなければ出会えなかったかもしれない、というのが嬉しさを倍増させます。
 作者の方は今年は学業に専念されるみたいで残念ですが、新作楽しみにしたいと思っています。